レイジングブルラスト

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「私は盲であったが今は見える」ただの転落映画ではない「孤独の戦い」「絶対に倒れずに戦い続ける」がテーマ、メッセージとして読み取れる。自分は主人公のようにキレたら物を壊したり殴ったりはしない。なのに何故これほど同情できて近い存在に感じるのか。それは誰もが経験した事のある「後悔」が常につきまとい、「強がり」を常に見せる事で内面の「寂しさ」を誰にも打ち明ける事のできない「孤独」な男の戦いだから主人公はこんなにも強いのに、自分の奥さん一人信じることが出来ないほど、自分はボスで俺は悪くないと何度も言い聞かせるほど、ビッキーとの出会いから付き合うまでの用意の周到さほど心が弱い男なのです。心の弱さと身体的な強さをうまく比較している。心が弱いから常に威嚇し常に相手を圧倒しようとする。非常に不思議な映画である。どうみても不愉快で女や兄弟にも手を出すクズなのに、男として弱さを見せないための強がりになぜか同情し応援したくなる。前作の失敗や奥さんとの離婚により転落したスコセッシが作った傑作。オープニングから音楽とあえての白黒映像の相性に痺れます。ボクシングよりもジェイクラモッタの孤独や反省を主軸とした映画。いくら殴られても倒れないスタイル、それはボクシングだけでなく実生活でも発揮している。この映画は、一貫して自己基準で生きてきた男が、妻に逃げられ、不健康にデブり、財産を失い、仕事を失い、監獄に入れられ、兄弟とも別れ、また反省の時間を持つことで、「私は盲であったが、今は見える」という聖書の言葉の引用に見られるように、見えなかった自分の過去の誤りに気付いたりしても、結局、この男の自我の中枢に張り付く、「不倒の精神」へのこだわりだけは全く変化しなかったのである。ラストシーンで見せた、シャドーボクシングの切れのいい動きに集約される男の人生は、「困難な局面に遭遇しても、決してダウンしない」ことを身上とするメッセージ以外の何ものでもなかった。ボクシング映画でありながらアンチボクシング映画です。ボクシング、暴力が嫌いだったスコセッシはラモッタをスポーツマンシップのないボクシングに対して何の道徳もないただの暴力として撮った。それはスコセッシは非常な怖がりでボクシングなんて暴力を正当化したものとしてしか見れなかったから。怒りに任せボクサーをボコボコにし自分自身をも恐れるラストで終わる拳闘屋キートンを元にしたという。さらにはスコセッシは当時麻薬に溺れ仕事で失敗しどん底に落ちていた。そんなときレイジングブルの誘いをデニーロから受けこれは最後の仕事になるかもしれない、スコセッシ自身の自分で自分を破滅させる男の話にしようと思い懺悔の意味を込めて作ったそうです。キレるとものを壊したりブチギレたりしてしまう。すぐに自ら鞭を打ち懺悔をする、シュガーレイロビンソンに反抗せず殴られ続けたのはその意味が込められてる。そんなラモッタとスコセッシの重なった人生を描きました。初めて見たときはただ美しいだけでよくわからないオープニングだったが、2回目見たときの気持ちが全く異なった。主人公の人生を見せられ孤独に絶対に倒れずに戦う男の悲しみのオープニングであった。この美しいオープニングはカトリックだったスコセッシならでは。フード付きのガウンはカトリックの修道僧を表している。暴力とセックスで汚れきった人を修道僧として描きどん底にいる人こそ神に近いように撮っている(タクシードライバーなど他の映画でも同じ)。理由は二つある。スコセッシの尊敬する監督にグローブの赤がきつすぎると言われたから。もう一つはラモッタの自伝の中でこう書かれてるから「俺は時々昔のボクシング時代の頃を思い出す。それは古い白黒映画のような映像なんだ。でもいい映画ではない、編集も映像もぐちゃぐちゃなんだ。」ジェイク・ラモッタ（１９２１年〜）。生涯成績106戦83勝30KO19敗4分。圧倒的なタフネスで、打たれても打たれても前に出てくる恐ろくべきブルファイトを続けた、そのボクシングスタイルから「レイジング・ブル」と呼ばれていた。『ロッキー』ブームの最中にボクシング嫌いなスコセッシが作った逆『ロッキー』。最後に鏡を見るのはスコセッシの贖罪(善行を積んだりするなどの実際の行動によって、自分の犯した罪や過失を償うこと。責任逃れ)。「波止場」の兄弟の話、ジェイクラモッタの話、スコセッシ自身の人生(セックスしたい、ムカつく奴をぶん殴りたいという衝動が抑えられず夢であったカトリックの神父を諦めた。実際に４回離婚を繰り返し奥さんにはぶちギレて壁を殴ったり、物を投げたり、映画の失敗によりドラッグ乱用し入院などしてたそう。)がリンクした贖罪でした。レイジングブルは逆ロッキーである。ロッキーはボクシングを通じ過程を人生を取り戻して行く。レイジングブルはどんどん失い落ちて行く。レイジングブルと表裏一体となってるロッキーはチャップリンの街の灯のボクシングシーンを元にしたという。このラストの一節には前後関係がある。ある盲人に対し当時嫌われていたイエスは目を見えるようにした。そこでパリサイ人たちは盲人であった人を　もう一度呼んで言った。「神に栄光を帰するがよい　イエスが罪人であることは私たちには分かっている」すると彼は言った。「イエスが罪人であるかどうか私は知りません。ただひとつの事だけ知っています、私は盲であったが今は見えるということです」スコセッシ自身この映画を通し罪人=ラモッタを自分と重ねることで見えるようになった意味に加え、人間の悪を描き鏡のように1番嫌な部分を移す事によって人間の本質を見えるようにする意味、スコセッシの大学時代の恩師であるマヌージアン教授はこの映画の完成前に亡くなってしまった。従って最後に聖書の言葉と先生への献辞を入れたそうです。「私はこの映画を通して自分と向き合えた。教授も昔映像を使って自己表現する方法を教えてくれた恩人だ。私には映像表現しかない、絵や文章ではダメなんだ。だからこれはラモッタ本人のことじゃない、教授に目を開かれてこの映画を作った自分のことだ」とスコセッシ本人が言っています。ちなみにラスト、デニーロを呼びに来る人物はマーティンスコセッシ本人から映画『レイジング・ブル』の作品概要かつてボクシングの世界ミドル級チャンピオンであったジェイク・ラモッタの半生を映画化。ジェイクを取り巻く人間関係、弟、妻、マフィアなどを通してジェイクの波乱万丈の人生を描く。ラスト・リベンジ（2014）の映画情報。評価レビュー 248件、映画館、動画予告編、ネタバレ感想、出演：ニコラス・ケイジ他。『タクシードライバー』『レイジング・ブル』などの脚本でも知られるポール・シュレイダー監督とニコラス・ケイジがタッグを組んだ、サスペンスアクション。

レイジングブルラスト 2020