「ルームメイト」の試写会に行ってきました。ストーリーは、派遣社員として勤務する春海(北川景子)は、ある日交通事故に遭い、しばらくの間入院生活を送ることになる。そんな彼女をいたわり、親切に接してくれた看護師の麗子(深田恭子)と春海はすっかり仲良くなり、二人は退院後にルームシェアを開始する。彼女たちの共同生活はスムーズに見えたが、春海が偶然、麗子の不可解な行動を目にしたことで……。というお話です。この話は、随分前に原作を読んで、映画化という話を聞いて喜んでいたのですが、原作と全く違う内容に驚いてしまいました。これ、原作者はOKしたんですかね。だって、女の恐ろしさの意味が、全く違っていましたよ。原作の方は、女性の狂気も描いていますが、女性が10代から40代の女性まで、全ての年齢に見えるように変身出来てしまうという恐ろしさも描いていたんです。もちろん、映像で描くのは難しいのかも知れませんが、深田さんなら出来たのではないかと思います。いやぁ、残念でした。この映画の内容だと、ただの多重人格者のお話なので、それなら、「24人のビリーミリガン」を日本版として映画化すれば良かったのに。ハッキリ言いましょう、ガッカリでした。この美しい2人をキャスティングしたのに、どうしてこんな話になっちゃったんだろう。まして、ラストに、ドン引きです。だって、原作は、超後味が悪くて、すっごく面白いのに、それが、こんなにスッキリしちゃって、なんなんですか?と、文句ばかり言っても、原作を読んでいない方には、この内容で納得が出来るかも知れないので、済みません。でも、きっと、原作を知らなくても、この内容だと、なんで殺人をするのか、納得が出来ないんじゃないかな。ただ、自分の邪魔になったから、目障りだから殺しているって事?多重人格だからって、ただ、欲望だけで生きている訳じゃなくて、どの人格も、それなりに人間社会に対応して、順応している訳だから、今回の殺人は、意味が解りませんでした。申し訳ないけど、どうしても、良かったという部分を見つけることが出来ません。キャストの美しさは良いと思いますよ。北川さん、深田さん、高良くんは、この話のキャラクターに合ってますから。でもね、内容がこれだと、このビジュアルを集めた意味が無いんですよ。美しい意味が無い。そして、訳の解らない政治家に転身しようとしている養護施設の園長が出てくるのですが、もう、最初に出てきた時から、何故、こいつが出てきたかというのがバレバレなんです。また、この系統の話になって行くのかと思ってしまい、イヤになってしまいました。原作では、その話はメインでは無いので、サラっと流すくらいなので、厭らしい臭さが無いのですが、これがメインになってしまうと、もう、その事しか無くて、話が壊れてしまうんです。ぜひ、楽しんできてくださいね。 今邑 彩『ルームメイト』の感想・レビュー一覧です。電子書籍版の無料試し読みあり。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。 武偵が気をつけなければいけないものが3つある。闇。毒。そして女だ。 では、ルームシェアで揉める原因を知ってるか。金。就寝時間。テレビのチャンネル…そして女だ。 「阿呆は今まで大勢見てるがお前はその中でも王様だな。自分の部屋を明け渡してやがって。こんなので上手くいくと思うか?」 「お前が勝手についてきたんだろ」 「神崎と二人で何を話せって? パラシュートで救って貰った話は聞いたよ。俺も感謝してる、腐ってもルームメイトだからな。だがな、言わせて貰うがあいつお前が頷くまでマジで帰らねぇぞ」 俺、雪平切は夜のコンビニにいる。何も騒がしい始業式の終わりにマガジンを立ち読みしたかったわけじゃない。事の顛末は隣で漫画雑誌を読んでいる同居人が女の子を招き入れたことから始まった。そう、我が家、探偵科の寮は俺とキンジの二人部屋だった。 『さっきまではな』 心でぼやいた後、ぺらっとページを捲る。無人島で金田一少年が犯人を追い詰めていた。前編も見てないのに解決編だけ見てもなぁ…分からん。 事態を纏めれば。今朝、始業式から自転車に爆弾を仕掛けられる世にも奇妙な体験をした遠山キンジは、空から落ちてきた少女(アリア)に命を救われたらしい。武装したセグウェイに囲まれた二人は、協力して場を切り抜け、HRで再開したキンジを尾行して神崎が部屋に押し掛けてきた。ここまでが読書片手に語るキンジの談。非日常に囲まれたTHE武偵の一日だ。 「神崎のトランクはお前も見たろ? 男子寮に泊まったなんて暇な武偵高女子生徒どもに流れてみろ。俺もお前も一週間はネタにされる」 「一週間で落ち着くか?」 「ああ、そのとおり。ゴシップガールを見せてやりたいよ。シーズン1からさ」 「知恵を貸せ。どうやって説得するか考えるぞ」 キンジは漫画雑誌を棚へと戻した。奴等は火のないところに煙を立たせ、ガソリンまいて、山火事にする連中だ。あることないこと噂にされたくないので俺も雑誌を元あった場所へと戻した。ない知恵を振り絞って俺達は神崎説得のプランを練る。だが悲しいかな、マトモな提案が浮かばない。 経過すること10分。店員さんも奇異な視線を向けてきたので『ももまん10個ポンッとくれてやる』などと俺が提案したらキンジが乗ってきた。やけくそな提案だが他に案もないのでやけくそな作戦が消去法で可決。割り勘で会計を済ませてから自室に戻った。 キンジがそっと扉を開ける。音を立てず、長い廊下に瞳を走らせる。まるで泥棒だな、自宅なのに。 ももまんの入った紙袋を手土産に俺も玄関を跨ぐ。袋から漂う甘ったるい匂い、10個ともなれば考えるだけで胸焼けしそうだ。数減らしとけば良かったな…… 「神崎は……?」 「いない、いないぞ……!」 無声音でやりとりしながら、リビングやキッチンを見渡す。テーブルにも飲み終わったカップがあるだけだ。本当に帰ったのか……? 訝しげにリビングを見渡すが変化はない。本当にいないみたいだ。やれやれ、と言いたげにキンジは打って変わった軽い足取りで洗面所に歩いていった。 残された俺がテーブルに紙袋を置き、テレビのリモコンをとろうとしたときーー廊下からキンジが顔を出した、ひでえツラだ。できればそのまま黙っていてほしいんだが……危機を自分一人で抱え込むのはとても勇気のいることだ。ほら開いたぞ。 「ふ、風呂場……!」 「落ち着け。風呂場がなんだって?」 「アリアが風呂場に!」 ーー風呂? お、おい男性寮の部屋で風呂に入ってんのかよ!? 声より心でツッコミを入れた刹那、事態は最悪の展開に舵をとった。慎ましくチャイムが一回、俺と視線をぶつけていたキンジの首からギギギ……と効果音が聞こえる。壊れた人形の首を力任せに捻ったときの音だ。おいそっちは風呂場だぞ……! 「宅配便だな!よし、切!受け取ってくれ!判子はそこにある!」 「馬鹿!この時間に来るわけねえだろ!白雪だよ、出迎えてやれ!おま、っ……居留守使ったらどうなるか分かってないだろーー!?」 ◇ 夢を見ていた。それは何度も見た夢だ。カンザス州のローレンス、家族を失って家族ができた日。そして俺がライカンハンターになった日。汚いモーテルに転がっている家族の亡骸、フローリングに広がっていく赤いシミを踏みしめているのは家族と呼んでくれた二人の兄。血の飛び散った部屋のドアを越えていく二人を、夢中に追いかけて部屋を飛びだしたーー景色はそこでぐにゃりと歪む。 「お腹すくじゃない!」 「すかせこのバカ!」 「バカーーですって!? キンジの分際で!」 不機嫌なアニメ声が遠くから聞こえて俺はうっすらと目を開けた。ぼんやりと霞む視界に最初に映ったのは茶色い天井だった。目をこすり、首を巡らせて部屋の中を見渡す。二段ベッドからは案の定喧嘩が見下ろせた。嬉しい限りだよ、神崎とキンジの痴話喧嘩がこれからは目覚ましだな。俺は真っ二つで転がっている目覚まし時計にかぶりを振った。アラームが鳴らないわけだよ、ちくしょうめ…… 武偵には帯刀、帯銃が義務付けられる。帯銃と一口に言っても対物ライフル持ち歩けばそりゃアウトだとけどな。噂では装備科の平賀さんが権利云々で一稼ぎ狙ってるみたいだ。あの子顧客が広いからなぁ。 キンジが暴れる神崎をいなしている隙に俺は着替えを済ませる。漁夫の利ってやつだが……別に羨ましくねえよ。朝から可愛い子と喧嘩できるなんて羨ましくもねえ……ほんとに羨ましくねえからな。 テーブルに置かれた弾倉と、木製のグリップで造られたナイフを身につけ、最後にトーラスを持ち上げたときだ。神崎の瞳がめざとく細められる、がらりと変わる真剣な表情に見とれて手が止まった。 「良い銃ね」 「へえ……謝るよ。ベレッタのパチモン呼ばわりされるのかと」 「身の丈に合わない銃を見せびらかすよりマシよ」 「キンジ。悪いことは言わない。この子とパートナー組め」 「買収されてどうすんだよ!」 『トーラスPT92』は『ベレッタ92』のライセンス生産モデルだ。悪く言えばキンジのベレッタM92を弄くり回した拳銃と言えなくもない。比べる相手がベレッタ社のドル箱だ、神崎みたいな意見は希少で大体はコピー品や格下に見られる風潮が強い。 考えや思想ってやつはそれぞれだが模造だろうが大切なのは銃と一緒に死ねるかどうか。俺ならジャムって死んでたとしても恨まない相手を探すね。身支度が済み、俺は一足先に鞄を抱えるが時計を見て頭を掻いた。 「神崎、そこまでだ」 二人の視線が息ぴったりに俺を見る。 「ーーバスに遅れた。このままだと仲良く遅刻コースだな。車とってくるから外で待っててくれ」 「ねえ、今って」 「2009年だろ」 「そうね。これって……」 「カセットテープだろ。じいちゃんの家とかにあるやつ」 「ぷぅ、くっ、くす……」 「笑うな、ドライバーに……っ、失礼だぞ……」 ……お前らな。 「キンジてめー! チャリがないから乗せてやってんだぞ! 次にインパラを笑ったら助手席開くからな! カマロに乗りたいならハワイにいけ!」 「このテープ古いのばっかり。ねえ他には?」 「切は1979年より前の洋楽しか聞かないんだ。地層からエヴァ探すようなもんだぞ」 「ああ、悪かったな!カラオケ誘われても知らねえ歌ばっかり歌ってよ!兄貴も親父も古い曲しか聞かなかったんだよ!」 バスに間に合わず、やむなく俺の車で登校することになったのだが、人工浮島の道を走る車内ではキンジと神崎が言いたい放題。まるで修学旅行気分の登校だよ、ホント。後部座席の神崎はカセットテープのはいったダンボールのケースをわちゃわちゃと荒らし、キンジは姑息にも咳払いで笑いを誤魔化してやがる。なにがおかしいっっっ!カセットテープでもいいだろ!使えりゃいいんだよ! ーーシボレー・インパラ1967年モデル。これほど暖かみを感じる車は他にないと思ってる。心地良いV8エンジンとドライバーを思いやる最高のシート。整備してやれば40年経ってもガンガン走る。怒りの臨界点を越えた俺は不機嫌にラジオを入れた。今日のニュースだ。 「何がエヴァを探すだよ馬鹿馬鹿しい。名曲がそこに揃ってるだろ」 「俺達が生まれる前の曲だぞ。懐メロもいいとこだ」 「クラシックが好きなんだよ。お前だって古い映画見るだろ、西部劇に被れてるくせによく言うぜ。神崎、なんでもいいからテープくれ。曲名が書いてあるだろ、センスは任せる」 「あんたね、聞いたこともないのにセンスも曲名もあったもんじゃないわよ。無茶振りって言葉ご存知ない?」 「キンジの辞書にはない。ついでに不可能もな」 「いいや、あるね…!」 神崎が投げたカセットテープをキンジが助手席からキャッチ。不満の表情でテープを見つめるが数秒の健闘だった。手つきは乱暴だがデッキにテープは押し込まれる。インパラとクラシックロック……ここにポテトとコーラ、それにベーコンチーズバーガーがあれば完璧だがそいつは遅刻コースだ、諦めよう。 「なあ知ってるか。車の中で流す曲を決める権利はドライバーにある」 「「……」」 ……揃って寝たフリは反則だろ。 ◇ 俺のクラスは2年A組。キンジや神崎と同じクラスになるんだが、二人を先に降ろし、別れて車輌科のガレージに向かう。キンジの提案で降ろすのは一人ずつで時間も場所もずらしてやった。巧く隠せるかはキンジ次第だな。 キーをポケットに投げ込み、考え事をしながら廊下を歩く。ーー武偵殺し、神崎の来訪で忘れそうになったが、同居人やられて涼しげな顔はしてられねえよ。あれでも友人だからな、出くわしたらチャリ代ぐらい弁償させてやる。 両ポケットに手を突っ込みながら教室札を仰ぐ。まだ遠くだが緩やかな金髪のツインテールが教室に靡いていくのが見えた。不意に名前を口走った理由はない。単に声をかけたかったんだろ。 「キリくん、やっはろー!調子はどう?」 「最悪の目覚めだ。起きたら目覚ましがぶっこわれてやがんの。斬られて真っ二つ、意味不明だよ」 「なにそれっ、理子気になる」 「話してやるよ。ついでにシェアハウスで揉める原因も教えてやる。修羅場から逃げる方法と一緒にな」 ーーもう玄関で星枷を追い返す役はやらねえぞ。
「ルームメイト」の試写会に行ってきました。ストーリーは、派遣社員として勤務する春海(北川景子)は、ある日交通事故に遭い、しばらくの間入院生活を送ることになる。